草とタイヤと原付と

前書き

SUZUKI TS50ハスラー

webmasterが16歳の頃に最初に買ったバイクが、SUZUKI TS50ハスラーだ。このバイクは、乗っていた頃のwebmasterが若かったり周囲の人たちが個性的だったりして、かなり無茶をしたりされたりした。今回の話は、その一節である。

能登島へ

199x年、16歳の夏。友人TよりHONDA NS-1を借り、友人YにwebmasterのTS50を貸して友人T(HONDA SL230)と友人Yとwebmasterの3人で能登島ツーリングへ向かった。

タイヤがパンク!

能登島到着。同島を散策中、友人Yの乗るTS50のタイヤがやけに潰れているのが目につき、調べてみることに。クギを発見。とりあえず抜く。「まぁ大丈夫だろう」(さすが16歳)

そのまましばらく走行するも、タイヤの潰れは目に明らかで、流石に不味いと思った。パンク修理工具なんていう気のきいたものは持ち合わせていないので、修理できそうな施設を探して走る。そうこうしているうちにタイヤの空気は抜けきってしまった。時刻は午後6時頃だ。

サバイバル的応急処置

さてどうしようかと悩んだ末、某サバイバル書籍に書いてあった対処法を採用することになった。

まず、タイヤチューブを抜く。そして、チューブの代わりにタイヤに草を詰める。 草むらから手当たり次第にちぎって、とにかく詰める。チューブはガードレールに巻いておいた

草を詰めるにつれタイヤが形を取り戻す。「ひょっとしてイケる?ねぇねぇ凄いよ草って。地球万歳」なんて思った。

草タイヤでGO!だがしかし...

嫌になるくらいまでタイヤに草を詰め、不安一杯で出発。ゴトゴトと鈍い振動を発しながらも空気が抜けきった状態よりはかなりマシだ。これは...いける!と思ったが、所詮は雑草。数km程走行すると草はタイヤ内で偏り、パーキングエリアで取り出してみるとホカホカになっていた。湯気も出ていた。

その後幾度となく草を詰めてみるがどうもうまくいかないので、草を諦めて新たな資源を探すことにした。古めかしい販促用ののぼりを発見。どうだろうと提案したが却下される。真剣に良いと思ったのでちょっとやるせない気持ちになった。

新たな挑戦

議論と捜索の末、某電話会社の某ボックス内の某誌を使うことに大決定

3人で狂ったようにちぎる。ちぎりまくる。そして詰める。・・・しかしこれも偏るのでダメだった。なんとか能登島から出たものの、最初のコンビニの駐車場で取り出したときにはゲロ・・・とまではいかないが、細かくミキサーされたような感じで、しかも湯気を放っていた。紙にも水分が含まれているのだなぁと思った。ゲロのようなものはそのまま放置した。(ご迷惑おかけしました)

ちなみに空気が抜けきったタイヤで走行中のTSを後ろから見ると後輪が2つあるように見えた。乗っていた友人Yは、「悪夢だ」ったそうだ。そりゃそうだ。

そんなこんなで

そして30km程走行した後、TS50の後輪のスポークが折れてチェーンに絡まり走行不能となった。TS50は適当な歯医者の駐車場に置いていった。この後は交代でSL230でタンデムして帰った。

祭りの跡

1週間後、能登警察から電話が入る。TS50の事だ。心臓ドッキンバクバク。平謝りである。

後日TS50の回収に行き、歯医者さんにお礼を言った。(ご迷惑おかけしました)話によればこの歯医者さんの駐車場にはしょっちゅう盗難バイクが放置されるらしく、「またか」といった具合だったそうだ。