富士通 BIBLO LOOX S5/53W 製品レビュー/インプレッション

FUJITSU LOOX S5/53W

購入動機

とにかく小さくてバッテリーが長持ちして32bit系Windowsが動くノートPCが欲しい。2001年1月当時、この条件を最も満たしていのはLOOX S5/53Wだった。DVD搭載でCPUがLOOX Sより高速なLOOX Tを選ばなかった理由は、(当時としては)高性能なデスクトップ型のPCを既に所有していたので、リッチコンテンツの閲覧性能よりも機動性を重視したためだ。

基本スペック

CPU Transmeta CrusoreTM5300(533MHz)
HDD 10GB
MEMORY 128MB
VGA ATI Rage Mobirity-M(4MB)
DISPLAY 1024x512 TFT液晶

特徴

  • Transmeta社製CPU『クルーソー』を採用
  • ワイド液晶(1024x512)
  • H"INモジュールを標準搭載
  • モバイルに適したサイズでしかも重量約980g

バッテリー

LOOX正面クルーソー搭載で省電力を謡う製品ということで、バッテリー動作時間は実際どうなの?長いの?といった疑問を先に抱く人が比較的多いと思われる。バッテリー動作時間はスペック値では約4時間と書かれており、webmasterがテストした範囲ではおよそ真実だといえる。MP3の再生程度であれば3時間弱といったところか。このバッテリ動作時間には大変満足している。大容量バッテリー搭載時は倍の7~8時間だ。ちなみに大容量バッテリーを使っている時は動作時間の残りにかなりの余裕があり、液晶をかなり明るくしたりCPUを速度重視で動かせられるので神衛生上とてもよい。LOOXを買ったときはぜひとも大容量バッテリーの導入を検討すべきだ。

液晶

比較的ユニークな仕様であるワイド液晶の解像度は1024x512ピクセルだ。この液晶は輝度が高く、当時の普及型のデスクトップ液晶モニタとは比べ物にならない質感だ。視野角も広く、狭めるためのプライバシーフィルタが発売されてもいる。高品質な液晶はドット欠けの確率が高いのかどうかは知らないが、買ってすぐに2つの輝点が発生してしまった。最初は気になったが今では忘れるくらいのものだ。

ワイド液晶は一見使い辛そうで高さも512ピクセルと頼りなさそうに思うこともあるだろう。実際webmasterもそう思っていた。だが使ってみると意外に画面の広さを感じるのである。

タスクバーを横に配置yahooを開いた様子を見ても分かる通り、横に十分な広さがあるためブラウジングは快適そのものである。ブラウズ中(特にテキスト)の横スクロールほど勝手の悪いものは無いと思っている自分としては絶賛ものの仕様だ。G4Macノートも横長のディスプレイを採用しているあたり「わかってらっしゃる」と言わざるを得まい。

上の画面ではタスクバーを横に配置している。おそらくこれは少数派だと思われるので、Windowsデフォルトの下位置に配置してみた。こうすると横幅の長さがより一層強調される。強調された横幅を利用してブラウザとメールソフトを同時利用してみた。

ウィンドウを横に並べる…とても自然なウィンドウの大きさと配置だ。これが1024x768だったりすると縦長で不快なウィンドウになってしまうことだろう。無論、ウィンドウは広いに越したことはないがこういった気持ちよさも大切にしたい。

H"in(エッジイン)

エッジインH"inは基本料が0円のH"in使っただけコースに加入している。ただし通話料金が割高なので、ドコモのP-inComp@ctで電波が届かないときのみ使っている。あとはPCカードを挿すのが面倒なときだろうか。カードを挿さずに即通信できるのはとてもスマートだ。メインのインフラとしてH"を使いたいのであればH"inは良い選択肢だと思う。ただし定額制のつなぎ放題コースには対応していない。(新型LOOXはAirH"に対応)

処理速度

ベンチマーク

クルーソーは癖のあるCPUなので以下の数値はあまりアテにはしないほうが良いと思う。以下はHDBenchで計測した結果。

HDBench v3.30での計算結果
項目名
整数演算 18441
浮動小数点演算 13677
Memory Read 17345
Memory Write 13104
Memory Read & Write 23649
HDD Read 9874
HDD write 9980
HDD FileCopy 1753

体感速度

体感速度は533MHzにしては「ちょっと遅いなぁ」と思ってしまうことが多々ある。そしてアプリケーションを起動して少し操作すると徐々に快適になっていく。←これがクルーソーの大きな癖であって、良くも悪くもあるところ。メールやWebをする程度なら何ら問題無い。快適とまではいかないがファンレス・低消費電力のメリットが大きいのでそこはトレードオフだと思えばCPUに対しての不満は若干解消される。

大きさと重量

大きさ

実機を目で確認出来ない方のためへの、大きさを伝えるためのサイズ比較である。サイズ比較といえばタバコの箱なのだが、残念ながら筆者はタバコを吸わない→タバコの箱が無い。何か手頃なものは無いだろうか・・・と考えた(3秒)。結果が、それだ。

ティッシュとLOOX幅正直な話ティッシュの箱は違うだろと自分に突っ込みを入れたくなったが、思いのほかこれがピッタシであった。何がピッタシって、横幅が殆ど同じなのである。その差は数ミリ。手元にあるティッシュの箱─出来ればnepia─を手に取ってみてほしい。その幅がLOOXなのだ。お次は奥行きを見てみよう。

ティッシュとLOOX奥行き若干LOOXの方が奥行きがある。最後に厚みである。

ティッシュとLOOX高さ見た通りの暑さだ。

また、LOOXを膝の上に載せたとき、横長ボディのおかげでとても具合が良かった。車内の運転席での使用はハンドルが邪魔になることがあるが、LOOXは奥行きが短いので快適だ。

重量

重量は980グラムで、サブノートでは最軽量クラスだ。はっきり言って、軽い。この重量に不満を唱えるのであればサブノートの携帯自体を諦めるべきだ。

操作性

キーボード

タイピング中キーボードのピッチは16mmで決して広くはないが、webmasterは店頭で初めてLOOXのキーボードを使って文章を打ち込んだ瞬間 『買いだ』 と思った。というのも、LOOX購入当時デスクトップで使っていたのはミツミ製のミニキーボードで、LOOXのキーボードの感覚と非常に似ていたのだ。

試しに思いついた文章をタッチタイピングで打ち込んでみるとミスタイプは殆ど出ず、ちょっと慣れればデスクトップと同様の速度と精度で打てると思った。

購入後『打モモ』をプレイしてみるとLOOXで打つ方が早かったりした。まぁこれは画面とキーボードの位置が近く手が視界の中に入るからだろう。それにしてもLOOXのキーボードは打ち易い。webmasterの手が小さめということも手伝ってはいるが、十分な大きさであることは確かだ。

以上の様にキーボードはおおむね満足しているが、気になる点が一つある。ファンクションキーの位置が左下隅にあるため、デスクトップで普及しているキーボードのCTRLと間違えてしまうのである。CTRLの位置はその右横に配置されている。デスクトップを使う時間の方が長いために、これに慣れるには時間がかかりそうだ。出来れば滅多に使うことのない右上の「PAUSE」キーを小さくしてその右に配置して欲しかった。(ここでいうファンクションキーとは液晶のコントラストやスピーカーの音量調節のための特殊キーで、押しながらF6やF7を押すことで機能する。)

クイックポイント

クイックポイントマウスカーソルの操作はキーボード中央の「クイックポイント」を使う。スティックの形状をした物の上に指先を当て、カーソルを動かしたい方向へ力を加えて操作する。このクイックポイントの操作感はというと、快適とは言い難い。ただ、ノートPCで主流のスライドパッドよりはマシだと言っておこう。「スライドパッドの方が使いやすそう」と思った方は多いと思うが、現在普及しているポインティングデバイスの中では最悪の部類に入ると思っている。結局のところは慣れだと思うが、webmaster的にスライドパッドは好きになれない。

ちなみにクイックポイントはIBMのトラックポイント操作性がまるで異なるので、同列に扱わないで頂きたい。体感的な操作性の良さは、IBMのトラックポイントの方が上だと思う。

関連リンク

公式サイト製品情報
詳しいスペックはここで。
真松のHOMEPAGE - 私的通信
LOOX T5を所有しています。LOOX奮戦記は写真が大量で分かりやすく、とても楽しめます。
話題も実用レベルで参考になるものばかりですのでお勧めです。
Deep Space One
LOOX T8(新型)を所有されています。LOOX日記はかなりの頻度で更新され、グラフを多用した比較・ベンチマーク・考察など充実度はかなりのものだと思います。
LOOX・FMV応援サイト 大江戸坊の部屋
LOOX S5を所有されています。Windos2000のインストールの手順・ドライバ情報がこと細かに記されていますので、2000へのアップグレードを考えている方は是非見ておくとよいでしょう。BBSでの情報交換も盛んに行われています。

ChangeLog

  • 2003-08-19 修正。