松下 Let’s note CF-A3(CF-A3R8CXR) 製品レビュー/インプレッション

Panasonic CF-A3R8CXR

目次

  • 購入動機
  • 基本スペック
  • 特徴
  • 実行速度
    • OSの設定を変更する
    • CPUは必要十分
    • メモリは不足気味、増設しよう
  • トラックボール
    • 第一印象は良くなかった
    • 設定で改善を試みる
    • トラックボールは、疲れない
    • でも、マウスを使う
  • バッテリー
    • 最大7.0時間駆動は信用できる
    • バッテリーメーターは無駄が無い
    • サスペンドは良好
  • 特殊機能
    • 画面切り替え機能
    • メールボタン&インターネットボタンはスマートではない
    • SDメモリーカードスロットによるセキュリティ
  • パームレスト
    • 連続的に長時間使用すると、汚れたり剥げたりする
    • プライベートで使う分には殆ど問題は無い
    • それでも気になるなら
  • 液晶
    • とくに不満は無い
    • 思い込みへの言いがかり
  • その他、細かい点
    • 重量と堅甲性
    • 本体の大きさは、少々厚みがある
    • スピーカーは期待できない
    • 電源は小ぶり
    • 液晶のロック機構がイマイチ
  • 一部モデルに不具合有り
    • 修正ツールが無償でダウンロードできる。使い方はよく読むべし
    • 不具合内容
    • 対象となる機種
  • 4ヶ月間使用してみて
  • 関連リンク
  • ChangeLog
  • 謝辞

購入動機

CF-A3LOOX
S5/53W
の性能に不満を持つようになり、ウェブサイトの更新が無理なく行える性能のノートPCが欲しく、トラックボールの操作性への期待と、標準バッテリーで7時間駆動できるスタミナに惚れて購入に至る。当時の候補としてはIBMのThinkpad
s30もあったが、トラックポイントは長時間の作業には向かない事を知っていたのでトラックボールのCF-A3に軍配が上がった。

基本スペック

  • CPU - intel 超低電圧版モバイルPentium III-M-700MHz
  • HDD - 30GB
  • MEMORY - 128MB
  • VGA - Silicon Motion Lynx3DM SM721 (4MB)
  • DISPLAY - XGA 11.3型TFT液晶

特徴

  • 標準バッテリー駆動時間最大約7.0時間
  • 画面切り替え機能
  • B5ファイルサイズで重量1.47kg
  • トラックボール

実行速度

OSの設定を変更する

OSはWindows XP Professional。webmasterの知る限りでは「(Windows2000に比べて)動作が遅い」と聞くことが多いこのOS、CF-A3も同じで基本的な操作で妙なもたつきを感じることがままある。これは、Windows XP Professionalのデフォルトの設定がパフォーマンスを重視していないためだ。半透過処理や、フェードイン処理などを外すことでかなり改善される。インターフェイスをclassicにするのも有効だが、webmasterは標準のlunaインターフェイスの方が使いやすいのでそのままだ。

CPUは必要十分

PentiumIIICPUは超低電圧版モバイルPentium III-M-700MHzで、電源接続時は700MHzで動作し、バッテリー駆動時は300MHzで動作する。電源接続時の体感速度は申し分無い。InternetExplorerは快適に動作するし、Dreamweaver、Fireworksなどのアプリケーションの動作も違和感は無い。では、バッテリー駆動時ではどうか。300MHzと聞くと「遅そう」というイメージが先行するが、実際には遅さを感じるどころか、電源接続時との違いを体感することは無かった。この辺りは流石Pentium III-Mといったところだろうか。使えば使うほど遅く感じるTransmetaのCrousoeではこうは行かないであろう。

メモリは不足気味、増設しよう

CF-A3の標準でのメモリ容量は128MByteだ。128Mbyteといえば数年前のノートPCであれば大容量を謡えるほどだが、Windows XPが動作するCF-A3には少々物足りない。そこでwebmasterはスペック上最大値の合計256MByteまで使うべく、非純正品なノーブランドの128Mbyteメモリを購入し、増設した。今のところメモリによる不具合は確認していない。(うまく動いているだけかもしれないが)

ちなみに純正オプション品の128MByteメモリは、128Mbitのチップが両面に8枚の型のみで、256Mbitのチップが片面に4枚の型は販売されていないことをメーカーサポートへの問い合わせで確認している。webmasterの購入した他社製のメモリも128Mbitが8枚の型だ。CF-A3のチップセットは440BX440MXと少々古めなので、256Mbitが4枚の型は動作しない可能性が高い。また、この事が何のことだか分からずにメモリを増設したい方は純正オプション品を購入することをお勧めする。

ちなみに、もし256Mbitが4枚の型のメモリの増設を試した方がいたら是非webmaster@akiyan.comまで結果を教えて欲しい。

トラックボール

第一印象は良くなかった

トラックボールポインティングデバイスとしてのトラックボールには、熱心なファンが多い。ポインティングデバイスの話になると「トラックボールはいいですよ」と口を揃えるし、松下のノート型PCで採用見込みが無くなったトラックボールをユーザーグループからの働きかけによって復活させた逸話もある。

そのトラックボールの実際の操作感はというと、第一印象は良いものでは無かった。初めて触れたトラックボールは「やたらと機敏に動き、イライラする」ものだった。スライドパッド式で感じる「動かないことがあって、イライラする」の逆だ。

設定で改善を試みる

そこで、webmasterはまずマウスのプロパティを変更することで改善を試みた。速度や加速度を調整することで多少は快適になったが、それでもゆっくりと動かす事は難しい。慣れるまでは仕方が無いか、と半ば諦めかけたところでwebmasterはある事に気が付いた。トラックボールに対して真下へ力を加えると、ボールに摩擦が加わり必然的にボールの回転が遅くなる。これで、カーソルをゆっくり動かすことが出来る。慣れないうちはこれを意識することにした。読者の中に、トラックボールを触れたことが無い方がいたら是非お勧めしたい方法だ。

トラックボールは、疲れない

しばらくしてトラックボールの操作に慣れると、スティック型のポインティングデバイスとの大きな違いは「疲れない」ことであると思った。CF-A3のトラックボールは光学式で、実にスムーズな動きをするので指に殆ど負担がかからない。指先をボールにちょっと触れて動きをつけるだけでカーソルは軽快に動き出す。対してスティック型のデバイスは固定された棒を「倒す」ことで操作する。「倒す」とは言うが棒はピクリとも動きはしないので、トラックボールと比べて明らかに指の関節に対して負担がかかっているのだ。手の動きこそは無いものの、この違いは想像以上に大きい。実際、CF-A3で数時間トラックボールを使用していても手や肩の疲れが殆ど無い。動かしているのは指先だけで、それも殆ど力を入れる必要が無いからだ。

でも、マウスを使う

それからというもの、トラックボールはwebmasterの手となり...というほどでもなかったりする。実際の所、マウスが一番使い易いので無理にトラックボールを使う必要性は感じない。トラックボールを使うのはCF-A3を机から移動させて使う時や、USBポートに空きが無くマウスを繋げられない時など。そして、CF-A3でテキストを打ち込んでいる時もトラックボールを使う。なぜかというと、トラックボールを使えば手を大きく動かすことなくマウスカーソルを操作できるので、文章の入力に集中できるからだ。このとき、親指2本を使ってトラックボールを操作することで、ホームポジションを崩さなくてもすむ。快適とは言えないが、不快と感じるほどではないので職業上文章を打つ事が多い方にお勧めだ。

バッテリー

最大7.0時間駆動は信用できる

公称値の標準バッテリーで最大7.0時間駆動は信用に値する。webmasterがCF-A3にIO-DATAの無線LANカード(WN-B11/PCM)を挿した状態で、IEによるブラウジングとEdmaxを使ったメールのやりとりでは約5時間ほど駆動した。超低電圧を謡うPemtium III-Mを搭載しているとはいえ、B5ファイルサイズ、11.3型のTFT液晶でこれだけの駆動時間を実現したのはCPUや液晶以外の機構の省電力設計の賜物であろう。バッテリーのもちを期待してCF-A3を購入するのは良い選択だといえる。実際の所、webmasterはCF-A3のバッテリー駆動時間に大変満足している。

バッテリーメーターは無駄が無い

バッテリーメーター本体左下に設けられたランプは、OS起動時はアクセスランプや充電状態を知らせるためにあるが、電源切断時やスタンバイ時に電池の絵が描かれたボタンを押すと、ランプの点灯によってバッテリーの残量値を知らせてくれる。他のノートPCではLCDを使って電池の絵で表現することが多いが、この仕組みなら無駄が無くて気分がよい。

サスペンドは良好

webmasterはタスクバーに常時10個前後のアプリケーションが起動していることが多く、状態を保持したまま電力消費を抑えることのできるサスペンド機能をwebmasterは頻繁に利用している。一部のノートPCではサスペンドに入る時に動作が停止したり、サスペンドから復帰するときにエラーが起こったりし易いものがあるが、CF-A3でそのような事は殆ど無いと言える。webmastarが確認したものでは内蔵アナログモデムでダイヤルアップ接続中にサスペンドに入ろうとしたとき、かなり待たされることがあるくらいだ。停止するわけではなく、ダイヤルアップ接続を切断してからサスペンドに入ればよいだけのことなので問題になることは無いだろう。

特殊機能

画面切り替え機能

画面切り替えユーティリティー用の専用ボタン 画面切り替えユーティリティーCF-A3にプレインストールされているアプリケーションで特にユニークな物が、画面切り替えユーティリティーだ。このアプリケーションを使うことで、4つのソフトや画面を切り替えられることが出来る。本体に専用のボタンまで装備されており、ワンタッチで操作することが可能だ。慣れれば便利なのだろうが、webmasterは標準のタスクバーに満足しているので全く使っていない。

メールボタン&インターネットボタンはスマートではない

クイック起動メールボタン&インターネットボタンネーミングですぐに機能が分かると思うが、このボタンを押すことでメーラーやブラウザを起動することができる。起動するアプリケーションを変更することも可能。しかし、webmasterはこのボタンを使っていない。というのも、このボタンを押すためには腕を一旦浮かせる必要があり、スマートではない。頻繁に使うアプリケーションはWindows XPのクイック起動に登録して起動するほうがよっぽどスマートだ。

SDメモリーカードスロットによるセキュリティ

CF-A3は起動時にカード挿入かパスワード入力がないとWindowsを起動できなくすることが可能だ。SDメモリーカードの挿入はパスワードを入力するよりも楽なので、パスワードを常用する人にとっては便利かもしれない。(しかし、便利ゆえにパスワード入力に比べてセキュリティは甘い)

ちなみにwebmasterはセキュリティ機能は利用していない。

パームレスト

連続的に長時間使用すると、汚れたり剥げたりする

剥げた部分CF-A3のパームレストは若干の熱を帯びるので、手汗が出やすくなる。そして何故そうなるのか詳しい所は分からないが、長時間使用しているとパームレストが黒ずんでしまうことがある。また、場合によっては手首と接触する本体の角が剥げることもある。剥げは非常にまずい状態で、好奇心旺盛なwebmasterは剥げた部分を爪でガリッと掻いてみた所、剥げがさらに広がってしまった。

プライベートで使う分には殆ど問題は無い

しかし、CF-A3をプライベートで購入する方は以上の事例を必要以上にネガティブに捉えなくともよい。なぜなら、このパームレストの汚れや剥げはCF-A3を丸一日中使わない限りは起こり得ないことだとwebmasterは思うからだ。この文章を書いている今webmasterはタイ/バンコクで生活中で、CF-A3を仕事用のマシンとして一日10時間以上使用していてパームレストが汚れたりや本体の角が剥げてしまったのであって、日本でCF-A3をサブマシンとして使っていたときは汚れは殆ど無かったし、剥げは全く無かった。タイは日本に比べて気温と湿気がかなり高く、汗も出やすいし湿り気も多いので、塗装には厳しい条件であろう。

それでも気になるなら

どうしてもパームレストが心配な方は、以下の点を注意すると良いかもしれない。

  • なるべく乾燥した環境で使用する。
  • 手汗が出たらすぐに拭き取る。
  • 汗が出そうなときはパームレストに手をつけない。(机の上で使うのなら、意外に難しいことではない)

液晶

とくに不満は無い

液晶11.3型のXGA液晶は、よほどの老眼でなければ十分な大きさだ。液晶事態の質はというと、細かい文字の鮮明さはかなり優秀な部類であるとみえ、輝度やコントラストは一般的な液晶と同レベルのように見える。

思い込みへの言いがかり

また、CF-A3の液晶とCRTと比較して「文字が細かすぎる」と思われる方がいるかもしれないが、CRTと使用状況を比較した場合、ノートパソコンは液晶と顔との距離が近いことが殆どなので比較対照としては適切ではない。ここでまだ食い下がって「画面と目との距離が近いと目が悪くなる」というのであれば、液晶とブラウン管の仕組みの違いを学ぶべきだ。大まかに理解した上でも液晶の方が目に優しいと思うに違いない。CF-A3の液晶は最初はCRTよりも見づらく感じるかもしれないが、それは単にCRTに慣れすぎなだけである。

余談になるが、俗に言う画面との距離が近いと目が悪くなるという知識は「ゲームをするときはTV画面から離れて」といったしつけを拡大解釈しているようにwebmasterは思う。

その他、細かい点

重量と堅甲性

重量は、B5ファイルサイズのノートPCでは最も軽量な部類に入る1.5kg前後。堅甲性を重視したと謡っていてこの重量ならかなり高ポイントだといえる。webmasterは液晶を開いた状態のCF-A3を1メートルの高さから落下させたことがあるが、その後異常は全く無い。

本体の大きさは、少々厚みがある

売れ筋の薄型ノートPCと本体の大きさ比べると、少々厚みがある方だ。これはトラックボールを採用するためのトレードオフな関係であるので致し方無いところ。

スピーカーは期待できない

スピーカースピーカーの質は期待すべきではない。音質について言及するのもためらわれる。あえて言うなら、ゲームを楽しくプレイするためのBGMや効果音程度ならまずまず使える(ただしモノラル限定だが)。どうしても音質を気にするなら電源不要のUSB接続のスピーカーがお勧めだ。どんな製品であれCF-A3のスピーカーよりは随分良いものであろう。

電源は小ぶり

電源電源ユニットの大きさはというと、縦はタバコの箱と同程度で、横は2/3、厚みは約2倍。この大きさはかなり小ぶりな部類で、頻繁に持ち運ぶ人には嬉しい仕様だ。

液晶のロック機構がイマイチ

ロック開放機構CF-A3の液晶のロック開放機構はスライド式で、指で押しずらす形でスライドさせることでロックが外れる。これは、慣れないうちは少々苦痛かもしれない。というのも、webmasterにとってはスライドしやすくするための尖りが少々痛く感じられる。この辺りは言葉では説明し辛いので画像を見て欲しい。もうCF-A3をかなり使い込んだと自負するwebmasterであるが、未だに痛いと感じる。爪の表側で押すこともできるが、爪の長い人にはお勧めできないのでこれは大きなマイナス点だ。

一部モデルに不具合有り

修正ツールが無償でダウンロードできる。使い方はよく読むべし

CF-A3の一部モデルにはWindows XPの動作に不具合があり、不具合を修正するための修正ツールがPanasonicサポート CF-R1,CF-A3 WindowsXP不具合修正ツールから無償でダウンロードできる。かといってダウンロード後に焦って実行してはならない。「プログラム実行時の注意事項」「プログラムの実行前の準備」「プログラムの実行手順」「その他」をしっかり読んで手順通りに行わないと正常に修正されない。単に修正ツールを実行するだけでは駄目なのだ。

不具合内容

以下、Pnasonicサポートより転載。

  • 256MBにメモリー増設しているとき、USB機器を接続するとシステム全体の速度が遅くなる
  • ユーザー名「Administrator」で、メールアカウントのパスワードが保存されない

webmasterが確認したものでは、メールアカウントのパスワードだけでなくIEのBasic認証のパスワード保存が機能しないこともあった。

対象となる機種

A3だけでなく、R1も含まれている。

  • レッツノート LIGHT
    • CF-R1RCXR
  • レッツノートR1シリーズ マイレッツ倶楽部オリジナルモデル
    • CF-R1RCXP、CF-R1RCHXP、CF-R1RCQXP、CF-R1RWXP、CF-R1RWHXP、CF-R1RWQXP
  • レッツノート TB
    • CF-A3R8CXR
  • レッツノートA3シリーズ マイレッツ倶楽部オリジナルモデル
    • CF-A3R8CXP、CF-A3R8CHXP、CF-A3R8CQXP、CF-A3R8WXP、CF-A3R8WHXP、CF-A3R8WQXP
  • 製造番号
    • 2BXXXXXXXX
    • 2CXXXXXXXX

製造番号の先頭から2桁目が「B」、または「C」になっている号機が対象。製造番号は本体底面か、もしくは保証書で確認できる。

4ヶ月間使用してみて

CF-A3を購入したのが2002/03/26、そしてこの文章を書いている今が2002/07/26。CF-A3を購入してから丁度4ヶ月が経過したことになる。この間の主な使用用途といえば、帰宅後のwww巡回、メール作成、ポトリス。タイ/バンコクで生活し始めてからはwebサイト制作、画像処理、プログラミングなども加わった。タスクバーには常に10個前後のアプリケーションが動作しているが、休止状態やサスペンドを多用しても動作はきわめて安定しており安心して使い続けている。

これといって目立った不満は無く、あと2~3年はメインのノートPCをCF-A3から乗り換えることは無いと思われる。あるとすれば不意の故障で修理代が高くつきそうだったり、滅茶苦茶魅力的なノートPC(QUAKE3も余裕の3D機能、燃料電池使用可、SXGA液晶、B5サイズ、1.5kg以下、20万円以下)が発売された時だけだろう。

以上から分かるようにwebmasterの使用用途においては大満足の性能で、CF-A3は高い評価をつけるに値する。

ChangeLog

  • チップセットの記述を440BXから440MXに修正。(2003-04-26)

謝辞

記述ミスのご指摘など頂いております。有難うございました。

  • ふじむら様(チップセットのご指摘)