個人サイトの広告が増えた理由は「コンテンツと広告の関連性」にある

個人テキストサイトのパラダイムシフト - 備忘録2005年05月10日転向者――インターネットでの「金儲け」はいつから受け入れられるようになったか - 絵文録ことのはを読んで思うことがあったので反応します。

以下、見出し一覧。

  • 一昔前はコンテンツと広告の関連性が無かった
    • 無料Webサイトスペースでは
    • では、有料レンタルサーバーでは?
  • 関連性の無い広告はノイズにしかならない
  • 直接リンク型アフィリエイトによって、利用機会が増えた
  • 関連性が、生まれた
  • 究極の関連広告「Google Adsense」
    • Google Adsenseのしくみ
    • デザインの統一が可能
    • 何より「手間がかからない」
    • むしろあってほしい?Google Adsense
  • 広告の絶対数と転向数の増加
    • 絶対数の増加
    • 転向数の増加
  • いち理由としての「関連性」

一昔前はコンテンツと広告の関連性が無かった

一昔前(2001年頃迄)のWebサイトに掲載されていた広告の殆どは、コンテンツとはおよそ関連性の無い広告ばかりでした。私の記憶から、当時の状況を思い出してみます。

無料Webサイトスペースでは

無料Webサイトスペースに表示される広告はサーバー管理者が決めた広告がやみくもに表示されるだけで、そこにコンテンツとの結びつきはありませんでした。とにかく目につきさえすればよいという感じで目立つ位置に入れ込ませたり、ポップアップウィンドウで表示したりと閲覧者にとって邪魔者以外の何者でもありませんでした。

運営者にとっても最悪で、何も利益をもたらしませんからデザイン上の邪魔にしかなりませんでした。無料サービスを好むユーザーは広告が目立たないサービスや広告の無いサービスを探してネットをさまよい歩きました。そのような都合のよいサービスはごく一部で存在しましたが、運営を停止したりサーバーが重すぎて使い物にならなかったりと散々でした。

では、有料レンタルサーバーでは?

では、それ以外の有料レンタルサーバーの個人サイトの様子はどうだったのでしょうか。

なんと、個人サイトも似たような状況で広告を掲載しているサイトの殆どはコンテンツとは無関係のバナー広告を設置していました。せっかくだからコンテンツと関連性のある広告を置きたいと運営者は思った筈でしょう。ですがその頃は広告の種類事態が少なく、バリューコマースなどの今では大手のサービスもサービスインして間もない頃でしたので、広告の種類は車・懸賞・インターネットの基本的なサービス・サラ金といった誰でも通用する汎用的なものしかありませんでした。他にもありましたが、極端に利益が少なかったりして魅力がありませんでした。運営者側にも広告の選択肢が無かったのです。選択肢が無い以上、関連性のある広告は載せられません。

ポップアップ広告は閲覧者にとって嫌われてはいましたが、目立たせるためならと採用している個人サイト運営者も数多く存在しました。結局、無料Webサイトスペースと有料レンタルサーバーの個人サイトの広告の状況は似たようなものだったのです。

このような状況が背景にあったため、広告を掲載しているサイトは個人サイトは少なかったのだと思います。

関連性の無い広告はノイズにしかならない

このような状況で表示される広告は閲覧者にとってはノイズにしかなりません。Webは能動的にコンテンツを選んで閲覧する行為が主ですから、欲しい情報と関係の無い情報が目についても無視されるのが当たり前です。最初は目新しさをもって受け入れられたバナー広告も、すぐに飽きられました。バナー広告のクリック率がものすごい勢いで激減していったのです。バナー広告を自動で削除するツール、ポップアップを防止するツールもこのころ流行しました。また、広告されているモノやサービスのほとんどは有償でしたから、そのころ無料が当たり前のインターネットには似つかわしくなかったこともあるでしょう。このあたりの心理の変化は、転向者――インターネットでの「金儲け」はいつから受け入れられるようになったか - 絵文録ことのはの解説が的を得ていると思います。

しかしそれでも広告の絶対数はどんどん増えていきました。種類も増え、少しづつ広告を選べるようになりましたが、それでもまだまだコンテンツと合致するような広告は滅多に存在しませんでした。おこづかいを稼ぎたくても選択肢が無い状況が続きました。

───直接リンクが可能なアフィリエイトと、Google Adsenseが現れるまでは

直接リンク型アフィリエイトによって、利用機会が増えた

現在のような商品ページに直接リンクしたりできるようなアフィリエイトサービスが普及し始めたのは2003年頃かと思われます。それまでのアフィリエイトはサイトのトップページへリンクするようなもので、そこからサービスに入会したり商品を購入したりしたら報酬が発生するものが主でした。

紹介したい商品があっても直接リンクが出来ないとなれば、紹介するには敷居が高くなります。「****というサイトの****カテゴリの****という商品がおすすめです」なんて書いたところでどれだけの人がアフィリエイトのリンクを辿ってくれるでしょうか。クリックしたとしてもたどり着けなかったりするでしょう。かといってサイトを紹介したところで曖昧すぎてコンテンツに絡めることが困難です。

それに対して直接リンクすることのできるアフィリエイトは運営者のニッチなコンテンツに絡めることが容易です。ダイエットの話題がコンテンツなら「××製薬のダイエットBBを使ってみたらものすごく痩せました」といった具合で商品そのものを紹介しつつ、リンク先は商品説明のページなのでアクセシビリティはとても高いです。

Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイトの台頭により、運営者側にアフィリエイトを利用できる機会が一気に増えました。

関連性が、生まれた

そして何より、コンテンツに絡められるということは「コンテンツと広告に関連性が生まれる」ことになります。関連性が生まれると、その広告は閲覧者にとってノイズではなく有益な情報たり得ます。興味のある情報の延長であれば閲覧者は広告でも受け入れるのです。TVバラエティー番組の合間に流れるサラ金のCMは無視しますが、子供の頃、TVアニメ番組の合間に流れるキャラクター商品のCMは食いついて見ていませんでしたか?

コンテンツとの関連性が強ければ、広告もコンテンツの一部となるのです。

究極の関連広告「Google Adsense」

Google Adsenseのしくみ

2004年1月、日本での「Google Adsense」が開始されました。Google Adsenseの何が究極かというと、広告を掲載するページのコンテンツを機械が自動で解析して自動的に関連性のある広告を選んでくれるところにあります。運営者は広告を探す手間をかけずに「ただ、そこに」広告タグを設置するだけでコンテンツと関係した広告を掲載することが可能になりました。まさに技術革命といってよいほどの衝撃を持って運営者に受け入れられ爆発的に普及しました。

デザインの統一が可能

また、広告の表示方法のカスタマイズ性が高くページにとけ込ませることが出来たので、デザインの統一感を重視する運営者にとっても福音といえるものでした。おおよそのバナー型広告はデザインがバタ臭く中には異常なほどにアニメーションするものもあり、許容できないほどに個性的な(ひどい)ものが多かったのです。

何より「手間がかからない」

そして「手間がかからない」のは何よりでした。コンテンツを作ってもそれにあう広告を探すのはとても時間のかかる作業でしたし、見つかる保証もありません。「このコンテンツにあう広告なんて無い」という思いこみもあるでしょう。かといって関連性の無い広告を載せたところで見向きもされません。Google Adsenseはモノグサな運営者にとってはうってつけのサービスといえるでしょう。(モノグサでなくてもその利便性は強く感じることでしょう)

むしろあってほしい?Google Adsense

Google Adsenseが選ぶ広告の関連性はかなりの精度だと感じています。すると、Google Adsenseで表示される広告自体が価値の高いコンテンツになるので、私は「このページに関連する広告を見れたらな」と思うことがしばしばあります。(それを可能にするサービスも存在します)

ちなみにこのサイトでGoogle Adsenseを採用した理由は、その精度の高さから「コンテンツの一部」として提供できると思ったからです。

広告の絶対数と転向数の増加

広告が「増えた」といわれる対象は、絶対数と転向数の二つがあると思います。絶対数は広告を載せている個人サイトすべてで、転向数は、長い間広告を載せて無かったサイトが広告を載せるようになった数です。

絶対数の増加

まず、絶対数の増加に影響したのは間違いなく無料ブログサービスによるところが大きいでしょう。しかし今現在直接リンク型アフィリエイトが無ければ今のように広告は増えなかったと思います。たとえ「ふつうの人たち」であっても関連性の無い広告をやみくもに載せるとは到底思えません。ブログの中には提灯記事だけを書いて広告自体がコンテンツのものもありますが、直接リンク型アフィリエイトが無ければそのようなコンテンツを作ることもままならないと思います。

転向数の増加

次に転向数の増加。これは自信を持って「コンテンツと関連性のある広告を掲載できるようになったから」ことが大きいと確信しています。絶対数の増加の前提条件でもあります。理由は、今まで書いてきた通りです。

また、商品ページに自由な形で直接リンクできるようになったことも大きいです。一昔前の広告といえば「バナー広告」でしたが、今や「アフィリエイト」ですからね。アフィリエイトはサイトを訪れて商品を購入してくれさえすればよいのが殆どなので、リンク方法はバナー広告に比べて自由です。

いち理由としての「関連性」

個人テキストサイトのパラダイムシフト - 備忘録2005年05月10日は「世間の感覚の変化」、転向者――インターネットでの「金儲け」はいつから受け入れられるようになったか - 絵文録ことのはは「お金に関する抵抗感の薄れ」を理由に挙げています。私は、どちらももっともだと思います。

私は個人サイトの広告が増えたいち理由として「コンテンツと関連性のある広告を掲載できるようになったから」という主張を、この文書に込めました。

コメント / トラックバック

コメント / トラックバック 4 件

  1. まつなが より:

    そうだそうだ、「コンテンツと関連性のある広告を掲載できるようになったから」は大きいですね!特にバナー広告じゃなくて商品直接リンクを選ぶときの心理は。

  2. サイトと広告とお金儲け

    「趣味のWebデザイン」さんの「個人テキストサイトのパラダイムシフト」という記事、およびそこからの派生である「転向者――インターネットでの「金儲け」はいつから受...

  3. sima2*blog より:

    AdSense在庫調整してない?

    このサイトにも貼っているAdSenseですが、あちこちで「公共広告」になっている...

  4. wtnabe より:

    自分は金持ち父さんの理論でアフィリエイトに手を出そうとしています。(実際にはまだですが。)それは要するにサイトの維持費をサイト自身に生ませる、ということです。

    収支のマイナスが減れば長期間コンテンツを公開しやすくなります。