顧客と語らえ! クイジング入門 書評

顧客と語らえ! クイジング入門
顧客と語らえ! クイジング入門
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弘中 勝
現代書林 (2005/09/14)
売り上げランキング: 993
おすすめ度の平均: 4.17

5 双方向のコミュニケーション
2 一億総コンサルタントの一人
5 稀に見る、繰り返し読みたくなるビジネス書

これはクイズ本ではない。タイトル中の「クイジング入門」のインパクトが強いからどうしてもそう思ってしまいがちだが、違う。著者が最も伝えたいのは顧客との良質なコミュニケーションをとることの大切さである。その証拠に表紙では「顧客と語らえ!」が最も強調されている。ただ、だからといってクイズについての内容が乏しいわけではない。

著者は巷に溢れる安易なクイズの何がいけないのかを的確に指摘している。誰でも見たことがある安易な穴埋めクイズや誰でもわかる簡単すぎるクイズは意味が無いという。

安易なクイズは答える側からしてみれば何の得もない。クイズに答える面白さもなく新しい知識を得ることもない。それでも懸賞賞品目当てで機械的に答える人は沢山いるので一時的に人は集められる。だが、はたしてそれで顧客に何か印象を残せるのだろうか。著者の答えは否だ。

ではどんなクイズなら顧客に印象を残せるのか。キーワードは「知的好奇心」だ。クイズに答える人の知的好奇心をくすぐるような、ちょっとひねったクイズが例として挙げられている。たとえば正解が富士山のクイズでは悪い例が「日本で最も標高が高い山は?(正解:富士山)」であるのに対し良い例は「日本一高い富士山と、オーストラリア大陸で最も高いコウジスコ山。高い山はどちらでしょう?(正解:富士山)」といった按配だ。顧客はこのクイズに答えることで富士山が世界的にも標高の高い山という知識が得られる。こういったクイズのあとに富士山に関連した商材を紹介すれば顧客の印象に残り易い。

顧客を満足させる。その手法の一つとして良いクイズは有効だと著者は言っている。悪いクイズには自社本位の精神が映し出されている。会社の名前を覚えて欲しい、新商品の名前を知って欲しい。欲しい。欲しい。etc ... こんな精神からは良質なクイズや良質なコミュニケーションは生まれないだろう。悪いクイズが生まれる根底には強すぎる自社本位の精神があるのだ。

本書では中小企業の社長がウェブサイトを使ったプロモーションに失敗し、悩み、改善していく物語が全体の軸になっている。また、顧客と良質なコミュニケーションをとるための方法について多くのページが割かれている。

「自社本位の精神を捨てよ。顧客と語らえ!」

クイジングを通してこのことが強く伝わった一冊だった。

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