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大切な一冊になります
雨の降る日曜日にベッドに寝そべって静かに世界を見渡してみる
思い込んでました…この本を一言で表現するなら「しんみりとした資本経済論」でしょうか。
すごくいい本でした。強く推薦します。行間も広めなのでさくっと読めます。
以下、印象に残った箇所を引用します。
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人生は、日々の積み重ねの延長線上にある。だから、簡単には変わらない。そんなことは、彼も知っていたはずだ。
最近、彼がアパートを引き払って、予定のない長い旅に出たことを聞いた。今頃はインドを放浪しているはずだという。
際限のない自由を手に入れた彼は、人生を変える体験をまだ探し続けている。
旅はいつかは終わり、戻るべき家はない。
人生は積み重ね。たしかに。
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生徒のいじめや自殺は公立の中学校で頻発し、私立中学ではほとんど起こらない。なぜだろうか?
それは私立中学が秩序維持に必要な”暴力”を行使できるからである。といっても、体罰教師を雇っているという意味ではない。
私立中学にあって公立中学にないもの。それは退学処分権だ。
私立学校で生徒の安全を脅かすような事件が起こると、翌年からその学校を受験させる親はいなくなる。生徒が集まらなければ私立学校は倒産してしまうから、校長から事務員まで秩序維持に関して一歩も引かない体制が出来上がる。
公立の中学校ではいじめをしてもデメリットが発生しない、いびつな社会である。
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あなたが働いて一年間に五百万円の収入を得ているとしよう。無から有が生まれないとすれば、この五百万円もまた、一億円の銀行預金に匹敵する何らかの資産から生じているはずだ。この資産、すなわち労働から利益を生み出す個人の能力が人的資本だ。
人的資本論を唱えたベッカー教授によれば、健康や人間関係をも含めた広い意味での人的資本が社会の富の大半を占めている。それに比べたら貯金の多寡やマイホームの有無には何の意味もない。
裕福な資産家は別として、ほとんどの人は人的資本を上回る実物資産を持つことはない。ならばわずかな貯金を増やそうと苦心惨憺するよりも大きな富を生む人的資本にこそ投資すべきだと、このノーベル賞学者は言う。
しかし大衆化した資格や能力は希少性が無いため市場価値は無い。投資先の選択は慎重に。
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現実には、高利貸しにできることは一つしかない。彼らは説教する。「貸した金を返せ。約束を守れ」と。それが暴力的に見えるとしたら、自宅や職場に押しかけ、債務者の面前でこの掟を伝えるからだ。高利貸しの最大の武器は、皮肉にも”道徳的”な正しさにある。
道徳的正しさを説かれてどう反論できようか。
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バブルの最盛期に出会った地上げ師は「あんたもダニや蛆虫以下の人間になれば金しか無いとわかるさ」と言って、夜ごと銀座の高級クラブで花咲か爺さんのように一万円札をばら撒いていた。彼は薪の代わりに暖炉にくべるほどの札束を持ち歩いていたが、大して幸福そうには見えなかった。そのときようやくヘーゲルの言葉が理解できた。彼は金で買える全てのものを持っていたが、他者の承認だけは得られなかった。
他者の承認を得る最も簡単で確実な方法は、自分の価値観を他者と同じにすることだ。女子高生の間で流行したルーズソックスのように、成熟した大衆社会では、人々は他人が望むものを手に入れようと行動する。不恰好な靴下は、マイホームやマイカーや学歴や肩書きなど、私たちの社会で価値があるとされるどんなものにも置き換えられる。そこでの個性とは、傍から見ればどうでもいいような微細な差異を競うことだ。
他者の承認。価値観。
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日本国の現状において生活保護は、政治家の集票活動や宗教団体の布教活動の一部として扱われている。政治的発言力(選挙権)の無い人間を助けても、彼らにとっては何の利益にもならない。最貧困層に生活保護費を振り分けることは、有力な選挙基盤の既得権を奪うことになる。これが、ホームレスが放置される政治的な理由だ。
ホームレスは政治的には「存在しない人」なのか...。
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保険は宝くじの一種である。賭けが成立するためには、保険受給者に対して保険加入者の数がはるかに多くなければならない。ところが介護保険は、理屈の上では、保険加入者の過半が当たりくじを引くことができる。保険商品としての設計が根本的に破綻しているのだ。
うわー。
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先進諸国の社会的弱者は、世界基準ではとてつもなく裕福な人たちだ。彼らが極右政党を組織して移民敗訴を求めるのは、福祉のパイが限られていることを知っているからだ。
北朝鮮やかつてのイラクのような独裁国家には移動の自由はなく、国民は政治的に監禁されている。福祉国家は厳しい移民規制によって、貧しい国の人々を貧しいままに監禁している。誰もが独裁国家の不正義を凶弾して止まない。では、福祉国家は正義にかなっているだろうか。
目から鱗。「自国へ入れさせない」ことは、「他国から出させない」ことと結局同じこと。
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