ウェブサイト横幅論 – ほんとうにはみ出す部分が重要じゃななければよいのか

mixiのデザイン変更から学ぶ、ウェブサイトの最小横幅を800px以下にすべき理由を公開してから1日が経過した。リファラーログを使用して言及はほぼ全て目を通させて頂いている。多くの同意を頂けたように感じる。ただ私が最も注目するのはするどい突っ込みだ。特に「重要じゃない領域ははみ出てもよい」という意見だ。前回のエントリでも書いたが、ほんとうにはみ出す部分が重要じゃなければよいのだろうか?

この意見は頷ける点はたくさんある。だが、大事な点がいくつか抜け落ちている。

まず、はみ出た部分にある情報がユーザーにとって重要かどうかは見てみないとわからない点だ。ユーザーは重要かどうかを判断するために不慣れな横スクロールを強制されられる。そして今は重要な情報が無いと判断する。しかし、この先重要な情報がそこに表示されないという保証はどこにあるのだろう?一例を紹介しよう。そのページはあるWebサービスのホーム画面で、デザインは横スクロールが出ない最小幅が870pxほどでブラウザを広げればそれに対応して広がるリキッドデザインだった。リキッドデザインだった点は素晴らしい。しかし、いちばん右端に入会へのナビゲーションが配置されていた点がまずかった。ブラウザサイズを800に縮めてみると、見事にそのナビゲーションは画面から消え去ったのだ。Webサービス提供側にとってもサービスを使いたいユーザーにとっても超重要な入会へのナビゲーション情報が横スクロールした先に隠れてしまったのだ。「はみ出た部分に重要な情報は無いことが多い」と思っているユーザーはナビゲーションを見つけるのにさぞ苦労したことだろう。

次に、はみ出るページを毎回見ることで蓄積されるマイナスエネルギーについてだ。画面から中途半端にはみ出て、中途半端に見える部分があるのは「ちょっと気分が悪い」と思う人は多いだろう。それが1回限りなら許せる。しかし例えばmixiのような滞在時間の長いサイトやリピーターの多いサイトでそういった要素があるのはよくない。塵も積もればなんとやら。強くは思わなくても、毎回なんとなく心の片隅で「ちょっと気分が悪い」と思う。いくら慣れてもこれは完全には消えない。また先に述べたようにいつ重要な情報が現れるかわからないという不安を抱えていなければならない。それに耐えられなくなったとき、ユーザーは嫌々ブラウザの幅を広げたり、ときどきチェックしたり、割り切って諦めたりする。そんな体験をユーザーにさせるべきではないと思う。

以下はリファラーログから得た長文な言及のあるサイト。示唆にあふれているので、ぜひ目を通していただきたい。ウェブサイト制作に関わる方はくれぐれも「800px以下ならなんでもいい」などと短絡的に判断しないようにしてほしい。800px以下というのも現状のデータにのっとったものであり、この問題の本質を見極めてほしい。

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