コモディティはそれ自体をレポートするのは本当に難しい

今年(2008年)の2月にドコモのケータイ「F905i」をブログでレビューする「ケータイ会議 sponsored by 富士通」というイベント参加していました。(当時の僕のレポート記事 1, 2, 3 ,4

F905iのレポートし、続けて行われたF906iの「ケータイ会議2」をウォッチしていてうっすらと思っていたことが、最近、はっきりしました。

それは「コモディティ(=日用品)自体をレポートするのは、本当に難しい。それ自体をレポートするより、何かに絡めたほうがいい」ということです。

目次

コモディティの表面的なレビューは面白くない

日用品といえば、テレビとか、ひげ剃りとか、それ自体の一般名詞が誰でも知っているものです。誰でも知っているものは「その機能がだいたいどんなものか想像がつく」といえます。

ケータイの機能といえば、音声通話ができて、カメラ機能があって、ネットに繋がって、音楽なんかも聴けちゃったりして...という知識は、今では常識レベルです。性能差はありますがどれも似たり寄ったりで、かなり掘り下げないと差が見えません。逆にいうと、表面的なところをレポートしても記事として面白くないのです。

面白くない実例

あまり面白くない記事の実例が以下です。

F905iのカメラ機能が良すぎる! : akiyan.com
http://www.akiyan.com/blog/archives/2008/02/f905i.html

この記事では冒頭に撮影サンプルが掲載され、F905iの良い点などを書いていますが、内容が、「良すぎる!」という見出しに完全に負けています。

なぜこれが面白くないのかという理由は2点。写真が普通すぎて、このケータイに興味が無い人にとって何ら面白みが無いことと、このケータイのカメラ機能に興味があっても、この記事の撮影サンプルはほとんど参考にならないからです。

要は「素材が普通すぎ」「掘り下げてなさすぎ」ということです。(いやはや、反省...)

これをこのままの形で面白くするとしたら「面白い被写体を探す」「機能についてもっともっと掘り下げる。他のケータイと比べる。インターフェイスの進化について語る」という案があります。しかしここでまた問題があります。ケータイは特にそうなのですが、自分よりも使い込みまくってる人はいくらでもいて、詳細なレビューもされちゃっているという事実です。

この事実を実感したのが、Wi-Fiオーディオという製品のレビューするイベントを思い出したときです。

非コモディティはレポートしやすい

Wi-FiオーディオはSONYさんの製品で、主に無線LAN経由でPCやDLNAサーバーに貯めた音楽を聴くための機器です。似たような製品はありますが、世間的な認知はほとんどなく、コモディティの反対に位置するようなカテゴリの製品です。

SONY Wi-Fi オーディオ ホワイト VGF-WA1/W
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Wi-Fiオーディオはコモディティではないので、レビュー自体がほとんどされません。なので、何を書いても、唯一のレポートになれる可能性があります。唯一でなくても、稀少なことは確実です。

僕が書いた記事 & まとめページは以下の通りでした。

面白いかどうかはわかりませんが、レポート自体が稀少なので、これらを書くことに悩みませんでした。それに対して、F905iのときは本当に悩んだんです。「機能についてはケータイWatchなどのメディアで取り上げられまくっているし、そもそもみんなケータイについてよく知っているし、当たり前のことを書いてもなあ...」と。

そして僕が取った作戦は「フルブラウザを掘り下げる」ことでした。そして書いた記事が「F905iのフルブラウザを全11サイトで徹底的に検証してみた」でした。大量の写真の撮影&加工がかなりの作業量で、大変でした。自分的に満足はできましたが、大変すぎて一般的にオススメできる作戦ではありません。

コモディティは、それにまつわる話が面白いかも

ケータイ会議のレビュー記事の中で「一見、ケータイそのものとは無関係のことが深い記事」がどれも興味深かったのが記憶に残っています。家族との絆のストーリーであったり、ケータイの未来であったり、現在の業界の状況であったり。どれも「ふんふん」と唸りながらながら読みました。

無関係の話はレビューすべきモノ自体の話とはズレてしまいますが、読者のためなら面白いほうがよいでしょう。コモディティはそのモノ自体のことはそもそも大体の予想がつくわけです。詳細なレビューでも他にも沢山あります。だったら、それ自体をキーにして別の話を絡めるというのは、面白くなる可能性に満ちています。何より、限界が無さそうなのがいいです。

ということで最初の結論の「コモディティは、それ自体をレポートするより、何かに絡めたほうがいい」という話になりました。

この話が皆さんのレポート記事執筆の参考になれば幸いです。

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